70年以上前の貴重な取り付け金具の修理
昨日ご紹介したシーリングライトの修理、補修の様子をご紹介します。
シーリングライト(天井照明)やブラケットライト(壁掛け照明)がアメリカから入荷してくると、取り付けられていた際に塗られた白いペイントがたっぷりついていることが多々あります。
現代だと加工技術も向上しているので、照明の金属には多種多様な金属が使われていますが、1940年くらいまでの照明にはまだまだ真鍮が多く使われていました。
アメリカの邸宅では白壁や白天井には直接ペイントを施すことが多かったので、貴重な真鍮製金具であっても、室内の仕上げに合わせてしっかり白で塗られちゃったりします(^^;
もっとも、当時の人達はこの取り付け金具なんて普通過ぎて貴重だなんて思っていませんよね。
ともあれ、この状態ではペイントに隠れて、地金の劣化が把握しきれないので丁寧に剥がして行きます。
地金を傷めないように、古いペイントを落とす時は慎重に行います。
薬品やヘラ、頑固な際にはやすりや工具を使って丹念に落として行きます。
幸い大きな劣化は見られず、亀裂があったのはネジを受ける部分だけでした。
裏面には緑青(ろくしょう)と呼ばれる真鍮や銅製品に付く錆びがびっしりと付いていました。
この緑青も丁寧に落とし、地金が出るようにして行きます。
取り付け金具には3本のネジが付いており、その3本のネジがガラスシェードを固定する役割を果たします。
写真をよく見ると、3本のネジのうち2本のネジに「受けネジ」が固着しています(^^;
受けネジを固定しているはずの本体に亀裂が入り、受けネジが外れてしまったのが原因でした。
これだとネジが空回りして、ガラスシェードを固定することが出来ないため、ネジの錆びなども全部落として、受けネジを本体に固定します。
小さな受けネジを再度、本体側にロウ付けで固定し、本体の亀裂部分も丁寧に補修しました。
仕上げにソケットを固定するための底板が欠損していたので、製作します。
取り付け金具の直径に合わせて厚みのある丈夫な真鍮製の底板を製作しました。
綺麗にロウ付けで固定し、取り付け金具の強度もあがりました。
当時の輝きを取り戻し、強度もも増した真鍮製の取り付け金具の出来上がりです。
これで補修は完了!綺麗に洗ったガラスシェードを取り付けて、これからもまた長く使って頂ける照明器具が完成しました。